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違憲判決と平和的生存権を世界に

 「国際民主法律家協会」(IADL)という世界中の法律家が参加しているNGOがあります。IADLは国連の経済社会理事会において協議資格を持つNGOとして、世界で2番目の伝統のある国際法律家団体です。

 4年に1度世界のどこかで大会を開いており、今年第17回の大会が6月6日から10日まで、ベトナム・ハノイの国際会議場にて開かれました(東アジアでの開催ははじめてのようです。前回はパリで開かれました)。

 開会式には、ベトナムの大統領が来られて開会の挨拶をされました。また、大会全体を通して、世界37カ国から約400人が参加し、平和、人権の課題について様々な議論が行われました。

 私(川口)もこの大会で発言をする機会を得、大会に参加してきました。
 「平和への権利」というテーマの議論の中で、イラク派兵違憲判決と、その判決が示した平和的生存権の意義について20分程度のスピーチをさせて頂きました。端的に言えば、名古屋高裁は、平和的生存権の本質を、「いかなる軍事的な暴力の、被害者にも、加害者にもならない権利」だとしていることを述べました。
 具体的な内容については別の形で紹介できればと思います(スピーチは英語でしましたが、日本語の原稿もあります)。 

 国境を越えた多くの法律家を前に、直接訴えることができたのは大変貴重でした(少しは緊張するかなと思いましたが、英語であったために逆に全く緊張しませんでした)。 
 残念ながら時間の関係で会場の皆さんと議論を深めることが出来ませんでしたが、多くの方に違憲判決と平和的生存権のとらえ方を指摘できた、とても貴重な機会だったと思います。

 「いかなる軍事的暴力」を否定、という点は、憲法9条の特殊性なのかもしれません(発言者の中には、自国防衛の軍事力行使の権利を認めたうえでの「平和」を訴える方も少なくありませんでした)。
 また、休憩中にも、「あなたの言っている内容はとても刺激的だが、例えばこのベトナムがそうであったように、アメリカの支配からの解放のために用いられる軍事力まで否定できるか」などと質問をされ、また、私が報告で言及したイタリアの哲学者アントニオ・ネグリの言説に関しても議論になりました。私の英語力の限界もあり、およそ十分議論できたとは言えませんが、思考を深める上でとても貴重な機会でした。

 結論から言えば、この大会に参加したことで、これまで国連でも示されている、軍事的暴力を完全には否定しない、また、多義的とも言える「Right to Peace」ではなく、日本の憲法と名古屋高裁が具現化した「Right to live in Peace」(平和的生存権)の具体的な中身をこれからも世界に発信していくことはとても大事だ、との思いを一層強くしました。 

最終的には、大会の中で、今後世界の平和を「法の支配」で作っていく際に、日本の9条のような平和憲法を世界各国で取り入れていくことが重要であるという趣旨の全体の宣言や活動方針が確認されました。 画期的なことだと思います。

なお、個人的には、土曜日にハノイ入り、日曜日大会参加、月曜夜に帰国、と超タイトなスケジュールで、ちょっと疲れましたが、ベトナムの今の雰囲気を短時間ですが味わうことが出来ました(市内はバイク多すぎ!)。
 また、名古屋からご一緒させて頂いた、石川弁護士とその事務局の中島さんにも大変お世話になり、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。

 月曜の朝には(通常月曜日は休館なのですが、IADL参加者に限り、特別に)「ホーチミン廟」に入ることが許され、ホーチミンのご遺体と対面させていただくことが出来ました。
 全体的にとても貴重な機会を得ることが出来ました。
 今後につなげていきたいと思います(写真はハノイ。信号待ちのバイク達。青になると一気に来ます)c0176103_12515667.jpg
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by iraben | 2009-06-13 22:26